MEDICAL

診療内容

当院では眼科の一般診療、 眼鏡、コンタクトレンズ処方、各種レーザー治療、白内障日帰り手術、オルソテラトロジーなど総合的な診療を行っています。
特に、目の成人病である、 緑内障、黄斑変性、白内障、様々な 眼底出血などを適切に診断し、治療できるよう最新の機器を揃え対応しています。

基本的眼科検査

基本的な眼科検査である、視力、眼圧検査をまず行います。視力検査は、熟達した検査員4〜5名の体勢で行っています。その後医師の診察があり、必要に応じて、細隙灯顕微鏡検査、眼底検査、その他の検査に進みます。緊急性のある場合を除いて、多くの精密検査は予約制で行っています。
眼底疾患は、基本的に散瞳薬を用いて瞳を開いてから眼底検査を行いますが、疾患や状態によっては散瞳せずに広角眼底カメラを用いての検査で十分な場合もあります。無散瞳の検査は、都合で車で来院したい場合、検査後に車の運転の予定がある場合、診察時間があまりとれない場合などに、便利です。

OCT(光干渉断層計)

OCT(光干渉断層計)

OCT(光干渉断層計)は、眼の奥を詳しく調べるための検査機器です。近赤外線を利用して網膜の断層画像を撮影し、その厚さや形状をミクロン単位で計測することができます。例えるなら、体の断面を調べるCTスキャンを目に応用したようなものです。従来の検査では分からなかった網膜の微細な変化を捉えることができるため、様々な眼科疾患の早期発見・診断に役立ちます。

OCTによる黄斑浮腫の画像(断面図)

OCTによる黄斑浮腫の画像(平面図)

OCT検査が適応となる主な眼科疾患は以下の通りです。

加齢黄斑変性 網膜の中心部である黄斑に異常が起こり、視力低下やゆがみが生じる病気。
OCT検査では黄斑部の浮腫や新生血管などを確認できます。
緑内障 視神経が障害され、視野が狭くなる病気です。現在の失明原因の第1位です。OCT検査では視神経の状態や神経細胞層の厚さを測定し、緑内障の変化をいち早く発見することできます。また、進行度合いを把握できます。
糖尿病網膜症 糖尿病の合併症として網膜に出血や浮腫が起こる病気です。OCT検査では網膜の出血、浮腫などを確認できます。また、OCTによる血管造影で血管閉塞 の状態も知ることができ、レーザー治療の適応を決めることができます。
黄斑円孔 黄斑部に穴が開いてしまう病気。OCT検査では円孔形成の初期段階から網膜の状態を確認することができ、手術的治療のタイミングを適切に判断することができます。
黄斑浮腫 様々な原因で起こりますが、代表的な疾患に網膜静脈分枝閉塞症、糖尿病網膜症があります。

OCT検査は痛みや負担の少ない検査です。検査時間は片眼わずか数分で、散瞳薬(瞳孔を開く薬)も通常は必要ありません。
眼の健康を守るためには、定期的な眼科検診とOCT検査が重要です。特に、加齢黄斑変性や緑内障のリスクが高い方は、積極的にOCT検査を受けることをお勧めします。

前眼部OCT(前眼部解析装置)

前眼部解析装置(前眼部OCT)

前眼部OCTは、眼球の前方部分(角膜、前房、虹彩、隅角、水晶体など)を詳しく調べるための検査機器です。近赤外線を照射し、その反射を利用して断層画像を撮影することで、従来の検査では難しかった前眼部の微細な構造を可視化することができます。

前眼部OCTによる隅角解析

前眼部OCTによる隅角解析2

前眼部OCTによるレンズ(水晶体)解析

前眼部OCTによるレンズ(水晶体)解析2

前眼部OCT検査が適応となる主な疾患

角膜疾患
  • 円錐角膜
    角膜が円錐状に突出する病気。前眼部OCTでは、角膜の形状や厚さを正確に測定し、円錐角膜の診断や進行度合いの評価に役立ちます。
  • 角膜ジストロフィー
    角膜に混濁が生じる病気。前眼部OCTでは、混濁の範囲や深さを確認できます。
  • 角膜感染症
    角膜に細菌やウイルスが感染する病気。前眼部OCTでは、角膜の炎症や潰瘍の程度を評価できます。
緑内障 閉塞隅角緑内障:隅角(黒目と白目の境目)が狭くなることで眼圧が上昇する緑内障。前眼部OCTでは、隅角の狭窄の程度を評価し、緑内障の発症リスクを予測できます。
白内障 水晶体が濁る病気。前眼部OCTでは、水晶体の濁りの程度や位置を確認し、白内障手術の計画に役立ちます。
眼外傷 眼球を打撲するなどして、前眼部に損傷を受けた場合。前眼部OCTでは、角膜や虹彩の損傷の程度を評価できます。
眼内レンズ 白内障手術後などに眼内に挿入するレンズ。前眼部OCTでは、眼内レンズの位置や状態を確認できます。

前眼部OCT検査の特徴

  • 非接触・非侵襲で、痛みや不快感が少ない検査です。
  • 短時間で検査が完了します。
  • 従来の検査では難しかった前眼部の微細な構造を可視化できます。

前眼部OCT検査は、様々な眼科疾患の診断や治療方針の決定に役立つ重要な検査です。

広角眼底カメラ

広角眼底カメラ

糖尿病網膜症(広角眼底カメラによる画像)

広角眼底カメラは、従来の眼底カメラよりも広い範囲の眼底を一度に撮影できる検査機器です。従来の眼底カメラでは眼底の約10%しか撮影できませんでしたが、広角眼底カメラでは約80%、画角にして200度もの範囲を撮影することが可能です。

広角眼底カメラの特徴と利点

  • 広範囲の撮影
    従来の眼底カメラに比べ、より広い範囲の眼底を一度に撮影できます。これにより、網膜剥離や網膜周辺部の変性など、周辺部に生じる疾患の発見に役立ちます。
  • 撮影時間の短縮
    一度に広い範囲を撮影できるため、検査時間が短縮されます。
  • 患者の負担軽減
    従来の眼底カメラでは、広い範囲を撮影するために患者さんに眼球を動かしてもらう必要がありましたが、広角眼底カメラではそれが不要になります。また、散瞳薬を使用せずに撮影できるため、患者さんの負担を軽減できます。
  • 高画質
    最新の広角眼底カメラは高画質で、微細な病変も見逃しません。

広角眼底カメラが適応となる疾患

広角眼底カメラは、ほぼ全ての眼底疾患の診断に役立ちます。特に以下の疾患の診断に有用です。

網膜剥離 網膜が剥がれてしまう病気。広角眼底カメラでは、網膜剥離の範囲や程度を正確に把握できます。
糖尿病網膜症 糖尿病の合併症として網膜に異常が起こる病気。広角眼底カメラでは、網膜の出血や浮腫、新生血管などを広範囲にわたって確認できます。
加齢黄斑変性 網膜の中心部である黄斑に異常が起こり、視力低下やゆがみが生じる病気。広角眼底カメラでは、黄斑部の変性や前駆病変などを確認できます。
網膜中心静脈閉塞症 動脈硬化によって起こる眼底出血の代表的疾患です。出血の範囲や程度、黄斑浮腫の有無などを、散瞳せずに確認することができます。
緑内障 視神経が障害され、視野が狭くなる病気。広角眼底カメラでは、視神経乳頭の形状や陥凹の程度、神経性線維束欠損を評価できます。
網膜周辺部の変性 網膜の周辺部に起こる変性。格子状変性や網膜裂孔など、網膜剥離の前兆となる病変を発見できます。

広角眼底カメラは、眼底疾患の早期発見・診断に大きく貢献する検査機器です。

視野検査

視野検査とは、目を動かさずに正面を見た状態で、どのくらいの範囲が見えているか、どのくらいの感度で見えているかを調べる検査です。

なぜ視野検査をするの?

視野検査は、緑内障などの目の病気や、脳腫瘍などの脳の病気を早期に発見するためにとても重要です。また、最近では内科疾患の治療薬による網膜や視神経の副作用チェックのために受診される方も増えています。

緑内障 視神経が障害され、視野が狭くなっていく病気です。早期発見・治療で進行を遅らせることが重要です。緑内障の診断、経過観察には定期的な視野検査が必須です。
脳腫瘍 脳にできた腫瘍が視神経を圧迫することで視野障害が起こることがあります。
網膜剥離 網膜が剥がれてしまう病気。視野の欠損や変形が起こります。
薬剤性の網膜
・視神経障害
肺MACに使用される薬の中のエタンブトールは視神経障害が起こる場合があることが知られています。投与中は定期的に副作用の有無を確認する必要があります。また、SLEに用いられるヒドロキシクロロキン(HCQ)は網膜症を起こすことがあり、定期的なOCTや視野検査が必要になります。

当院で導入している視野検査機器

ゴールドマン視野計

動的視野検査に用いられます。検査員が手動で光を動かし、見える範囲を測定します。

ゴールドマン動的視野計

ハンフリー視野計

静的視野検査に用いられます。コンピューター制御で、様々な明るさの光を提示し、見えるかどうかを自動で測定します。

ハンフリー静的視野計

ハンフリーによる視野検査結果(緑内障による視野欠損)

imo

ハンフリーと同様に静的視野検査に用いられます。両眼開放下で検査が可能であり、検査時間もハンフリーと比べて30〜40%程度短いため、視野検査の苦手な方にも比較的楽に検査を受けていただけます。

静的視野計imo

imoによる視野検査結果

視野検査は緑内障の経過観察に必須の検査であり、複数の機器を用いて適切なタイミングで検査が行えるようにしています。

塗抹検鏡

アデノウイルス結膜炎の塗抹検鏡像

塗抹検鏡は、結膜炎や角膜潰瘍などの感染症の診断や治療方針決定に非常に役立ちます。2〜3分で結果が出るので、その場で原因となる微生物を特定することができ、適切な薬剤を選択し、効果的な治療を行うことが可能です。グラム染色とギムザ染色は、塗抹検鏡でよく用いられる染色法です。

ほとんどの眼科では行っていない検査ですが、当院では結膜炎診断のルーティン検査として必ず行われ、早期診断、早期治療を可能にしています。

眼科領域の適応疾患

結膜炎 結膜炎には細菌、ウイルス、クラミジア、アレルギーなど様々な原因がありますが、塗抹検鏡を行うことでこれらを鑑別して適切な治療に結びつけることが可能になります。細菌感染症では、グラム染色を行って原因菌を特定し、適切な抗菌薬を選択します。はやり目(流行性角結膜炎=アデノウイルス結膜炎)やアレルギー結膜炎の診断にも有用です。
角膜潰瘍 角膜にできた潰瘍。重症化すると視力障害を引き起こすため、原因菌を特定し、適切な治療を行うことが重要です。細菌、真菌のほか、コンタクトレンズ装用に関連したアカントアメーバ角膜炎の診断には、塗抹検鏡が不可欠です。
涙嚢炎 涙嚢の炎症。原因菌を特定し、適切な抗菌薬を選択するためにグラム染色を行います。
眼内炎 眼内の感染症。非常にまれですが、白内障の術後に起こることがあります。失明のリスクもあるため、原因菌を特定し、迅速な治療が必要です。